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氷女(ひめ)伝説(その一)

 投稿者:つぶやきじろう  投稿日:2009年12月29日(火)19時19分38秒
返信・引用
  時は元禄。
信州の山奥、平家の落人が隠れ住む小さな山里。
此処に丈太という名の若者がいた。
先祖は平家一門で、安徳天皇のお側にに使える貴族であった。
壇ノ浦の戦いで安徳天皇を抱いていた二位の尼が入水した際、ともに身を投げたとのこである。

丈太は年老いた母親と二人暮らしで、木こりとしてわずかな日銭を稼ぐだけで、あとは山や川の自然の恵みを手に入れ貧しい生活をしていた。
すでに嫁をもらう年頃なのだが貧しい木こりのもとに嫁ぐ娘はいなかった。
生来まじめな丈太は木こりの合間に近くの谷川で釣りをしたり茸や山菜を採ってはその日の糧とした。しかし代々文字を学ぶことが受け継がれていたので、丈太もその教えに従い母親から文字だけは読めるようになっていた。

ある夏の日、丈太はイワナを求めて谷川を上流に向かっていた。
今年は例年になく暑い夏で、ほとんど雨が降らないので川の水かさも少なく水温も上昇しているせいで目的のイワナは全く釣れない。
さらに冷たい水の場所をさがして上流に向かって水の中を歩き続けた。

どれほど上流に来たのだろうか、川幅はだんだん狭くなり周りは見慣れない景色に変わっている。大きな岩壁を右に曲がったところ、突然、目の前に滝が現れた。
高さは7,8間ほどあろうとおもわれるが、水かさが減っているせいで滝には元気がない。
ふと滝の後ろに小さな洞穴があることに気が付いた。その洞窟の入り口は、普段なら滝の水で見えないだろうと思われる場所にあった。

丈太は不思議な気持ちに駆られながら、吸い寄せられようにその洞窟に近づいた。入り口は腰をかがめないと通れないくらいの大きさで、岩肌の苔もところどころ剥げている。その剥げ落ちた岩肌に刻まれた文字が目に入った。所々苔があり読めないが「氷女・交・・・生・・・永・乃命・・」と刻まれている。
何を意味するのか判らないまま、勇気をふるって中に入った。入ったとたん、冷たい空気が丈太の顔にあたった。奥の方かひんやりとした冷たい風が流れてくる。
突然体がブルブルッと震えた。洞窟の中は外の暑さとうってかわりヒンヤリとしている。
(奥には何があるのだろう)
丈太は濡れた足下に注意しながらゆっくりと腰をかがめてゆっくり奥に向かった。
洞窟の壁は不思議な光を発しぼんやりと洞窟内を照らしている。目を懲らせば明かりなしでも前の様子を知ることができる。丈太はどれほど進んだろうか、もはや滝の音は聞こえない。
頭の上からは水がしたたり落ち、側面の岩壁を流れる水は手が切れるくらい冷たくなっている。
再びブルブルッと体が震えた。

急に広い場所に出た。
(ここは何だろう?何か居るのだろうか? 宝物でも隠してあるのだろうか?)
丈太は目を懲らしてその広い洞窟内を注意深く見回すと、奥に何ものかが横たわっているようにみえた。

丈太は息を殺し恐る恐るゆっくり近づいてみると、真っ白な着物を着た長い黒髪の女が横たわっている。
(死んでいるのか?)
黒髪は膝に届くくらいの長さで、目は閉じ長い睫毛をいっそう際だたせている。
肌の色は透けるように白く恐ろしいほどの美しさである。
しかし血の気は無く、唇も青白く精気はない。
恐る恐るその手に触れてみると死人のように冷たい。
(死んでいるのか? ここは死人を祭るところなのか?墓か?)
生きた人間が足を踏み入れてはならない神聖なところに迷い込んでしまったのかと思いつつ、その死んでいると思われる女のそばに立ち、じっとその美しい顔を見つづけていた。
これまでに丈太は若い女と知り合いになることもなく、女を間近で見ることなど今までになかった。不思議な気持ちで見つめていた。

ふと我に返って、本当に死んでいるかどうか確かめようと、もしかしたら息があるのではないだろうかと女の口元に顔を近づけた。
するとほんの僅かだが息をしている。
そこで女の冷たい手をとり動かしてみると「ウーン」と弱々しい声が聞こえた。
「もし! どうしました?」と何度も呼びかけると、女は僅かに瞼を開き、弱々しい声が聞こえた。
「あ・つ・い、く・る・し・い」
「これ女、どうした?どうしたらいいんだ?おいらはどうしたらいいんだ?」
できるだけ優しい声で丈太は冷たい女に呼びかけた。

「この奥にある氷の部屋まで運んでくだされ」
「え?奥に運んで欲しいのか?」
女はうなずき、目を閉じ死んでいるかのように再び静かになった。
そう言われた丈太は背中と腰の下に腕をいれて女を抱え上げた。
(何て軽いのだろう・・・なんて美しいのだろう・・・)
間近に見る女の顔は美しく、丈太の心を虜にした。
あまりの軽さに驚きながらも女を抱え、氷の部屋を探してゆっくりと洞窟の奥に進んだ。

しばらくすると壁一面が氷に覆われた部屋にでた。
「ここでいいか?」丈太が声をかけると
女は少し元気が出てきたようで「ええ」と答えた。
丈太はその部屋の奥に平らな場所があることに気づき、その上にそっと女を横たえた。

丈太は、再びその美しい女の姿に見入っていると女の顔つきがだんだん良くなっていることがわかった。
しかし、さきほどまで黒かった長い髪が不思議なことにだんだん白くなっている。

それでも丈太は女の事が心配でその場に立ち、じっと見つめていた。

突然、女は目をゆっくりと大きく開くと傍らに立つ丈太の顔を見つめた。
女に見つめられた丈太は全身が硬直し言葉を発することもできなかった。

女は音もなく立ち上がった。
真っ白な髪は膝のあたりまで伸びている。
「私の姿を見た者は命が無いのだが、そなたは私の命の恩人じゃ。一つだけ望みを叶えてやろう、何なりと申してみよ」と丈太に話しかけた。

普通なら恐怖のあまり声も出せないのが、その女の美しさに魅了され、まだ女というものを知らない丈太は、女が元気になったのを見て子供のように嬉しくなり、相手が何者なのかも考えず、思わず
「おらの、嫁さんになってほしい!」と答えた。

女はその願いを聞き、逆に驚き
「え!?」と声を出した。
「おら、あんたに心底惚れた!嫁になってくれなんだら死んだっていい!」

しばらく黙って静かに丈太の目を見ていた女は。
「そなたの望みは叶えてやることはできない、私と交わればそなたは命を失う。もし万が一そなたが命を失わなければ 、そなたは永遠の命を得ることになる。それでもいいか?」
「いい! おら、死んだって構わない」

だんだん丈太は自分の心と体が燃えるように熱くなるのを感じた。
すると女の表情は穏やかになり 顔を丈太の顔に近づけてきた。
丈太も思わず顔を近づけると、女は丈太に口づけをした。

ぞっとするほど冷たい唇であったが丈太にとっては自分の思いが伝わったと感じ、思わず両腕で女の体を抱きしめると、女は抵抗することなく身を任せた。
丈太はまだ女を知らなかったのだが本能に任せた。
寒さも冷たさも丈太には全く感じない。
ただひたすら女を愛し続けた。
交わった瞬間、女は「あ!あつい!くるしい!」と声を上げた。
それでも丈太は無我夢中で激しい動きを続け、果てた瞬間意識が遠くなった。

丈太は長い長い夢を見ていた。
ふと目を開けてみると、左腕の中で女が自分の顔を心配そうに見つめていた。
その目は優しさに満ちていた。
 
 

つぶやきじろうの囁き

 投稿者:つぶやきじろう  投稿日:2009年12月29日(火)15時37分7秒
返信・引用
  ネットのブログを作りすぎてどこに何を書いたのか判らなくなってきました。
順番も題材もまちまちですが、ここに記録としてまとめて残すことにしました。

わんぱくで手がつけられなかった主人公が、出会う人たちの力を借りて成長していくさまを虚々実々を交えて小説風に書いていきます。
 

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